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「実生銀行」とは

森づくりのインフラに

私たちがすすめる実生(みしょう)銀行プロジェクトは、他の銀行とは違います。

なぜなら、私たちは「お金」を貯める銀行ではなく、「種から森をつくるための苗木」を貯める銀行だからです。

当プロジェクトの中心となる「実生」は自然界の仕組みです。実生とは、森の中で親木の陰に隠れ、10cmほどの小さな幼木の状態のまま何十年も成長を抑えて生きる「タイムカプセル」のような存在です。近くの大木が倒れ、日光が差し込むと、一気に成長する力があります。

私たちがこの自然のメカニズムを疑似的に再現して育てる「盆栽型実生苗」は、30年以上にわたり苗として使用できます。野生の木々が発芽力のある種をつける機会は限られており、各種の樹木の苗を確保することは難しい課題でした。「盆栽型実生苗」というローテクで革新的な手法の開発により、種の豊作時に大量の苗をつくり、必要な時に植栽できるようになり、この課題を解決しました。この方法により、わずか200平方メートルの空間に最大1万本の苗木をコンパクトに管理・保管でき、地域固有の生態系を守る苗を安定的に供給できます。

これはまさに、地域の環境を「再野生化(Rewilding)」するための、新しい苗木供給モデルなのです。

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種から始めることことの意味

通常の植林プロジェクトの多くは、他の地域で育てられた、画一的で地域的な遺伝特性を考慮しない苗木を用います。しかし、私たちのプロジェクトは、その土地本来の在来種と、その遺伝子の地域特性にこだわり、地元で採取した種子から丁寧に苗を育てます。種から育てることにより、その土地固有の遺伝的特徴を持つ、生物多様性豊かな森林を再生することができます。

菌の力を活用 下草刈りからも解放

森づくりで最も資金や労力がかかるのは、植栽後の苗の周りの草刈りです。植栽後数年にわたり、下草が成長する梅雨の時期に過酷な作業が必要です。私たちは土の中の菌の力を活用するために植栽箇所に防草シートを張ります。これによって、下草刈りが不要となり、苗の植栽も容易になる方法を開発しました。この結果、小学生でも楽しく苗を植えることが可能となっています。

教育との融合―全国の学校に支店を

私たちは現在、このプロジェクトを教育分野と掛け合わせ、全国数千の小中学校を「実生銀行の支店」とすることを計画しています。生徒たちは、自分たちの地域の神社や森を訪れ、木の実を採集します。その種を校庭で芽吹かせ、「支店」として苗木を育て、地域に還元します。地元で開発事業があった際には、この苗を提供し、地域の自然を再生・保全する循環をつくります。これは単なる植林活動を超え、子どもたちが自分の地域や自然とのつながりを実感し、深く愛着を持つきっかけとなります。

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森の多様性を未来へ

実生銀行プロジェクトは、生物多様性の喪失に正面から向き合うものです。SDGsの取り組みでは、生物多様性保全は気候変動対策とともに地球環境保護の両輪として重視されています。ただ、地球環境保護の取り組みの多くは気候変動に偏重し、生物多様性に目が向いていないのが実情です。

ほとんどの植林活動では、他地域から持ち込まれた苗木が使われ、遺伝的な地域性も無視された針葉樹の単一植林が主流です。このような森では生態系の多様性も育まれず、昆虫・鳥・動物など本来の生物ネットワークが失われています。
 
また、苗を植えるために肥沃な土を別の場所から持ち込む手法(客土)は、土を採取された側の自然環境を壊すことにもつながります。私たちの「盆栽型実生苗」は、鉱山跡地などの極限環境でも、糸状菌や菌根菌などの土壌微生物の働きで力強く根を張り、森へと育ってきた実績があります。力強く成長する生命力を持ち、森づくりと同時に「土づくり」にも貢献します。

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取り組み 5つのステップ

実生銀行プロジェクトの取り組みは、以下の5ステップで構成されています。
 
1.種の採取(地域の自然の森や神社から在来種の種子を採集)
2.盆栽型実生苗の育成(自然の「実生」の仕組みを再現)
3.苗のストック(限られた土地で1万本以上の苗木を保管可能)
4.植樹(鉱山跡地などの極限環境でも根を張る実生苗の強さ)
5.追跡調査(植樹ではなく、森に育つまでを見守る)
 
特に、苗の安定供給は長らく森林再生の課題とされてきました。実生銀行は、このボトルネックを解消する画期的な「苗のインフラ」となることを目指します。

また現在、全国の学校を中心とした実践グループを「実生銀行の支店」として展開する構想も進行中です。子どもたちが種を採り、苗を育て、地域に森を戻すという循環を実体験することで、自然と地域への理解を深めます。

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あゆみ

「実生銀行」という言葉は、もともと森林生態学における学術用語で、森林の林床に点在する幼木(実生)が、将来の森を担う「予備軍」として機能する様子を「銀行」になぞらえたものです。

この考えをもとに、当法人理事長である北海道科学大学名誉教授・岡村俊邦が1970年代より研究を続け、1991年からは「生態学的混播・混植法」と名付け、北海道を中心に本格的な実践を開始。以降、600箇所・300ha以上の土地に、60種・90万本以上の「盆栽型実生苗」を植え、生物多様性に富んだ広葉樹の森を再生してきました。

2025年からは「実生研究所」を北海道安平町にある北海道ホームファームに設け、新たな活動拠点としています。多様性に富んだ実生を安定供給する拠点とするだけでなく、敷地内の単一種の防風林に多様性を取り戻す活動も進め、私たちの活動を一か所で理解できる場所を作りを進めています。

現在も以下のような取り組みを続けています。
・北海道の河畔林の再生プロジェクト:石狩川、十勝川、釧路川等の失われた河畔林を再生
・天売島応援プロジェクト:国境離島の島社会の存続を図るため、水源林を保全・再生
・イオルの森再生プロジェクト:先住民族であるアイヌの生活基盤であるイオル(狩り場)の森を再生 など
 
2025年には、自然保護や人道支援活動を支援する「DEFENDER AWARDS」で「地球の守護者」に選ばれています。

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実生銀行ロゴ

特定非営利活動法人実生研究所

※「実生銀行」(商標登録済み)は、特定非営利活動法人実生研究所が運営するプロジェクト名です。

〒059-1434   安平町早来富岡295-11

Email: info@seedlingbank.org

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